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2012-02-16(Thu)

東方海神殿 第二章~幻想入りへ~3

本日は、久しぶりの続きです。

その後の授業など早苗の耳には入って来なかった。
ようやく学校が終わり、帰宅を急ぐ早苗。
「ちょっと、早苗…。置いて行くなんて酷いじゃない。今日は部活が無いから一緒に帰ろうって昼休みに言ったよね。」
愛と幸音が早苗の後を追ってきた。
「…あ、ごめん。」
早苗は頭を下げた。
「伯父さんの本があって、早る気持ちはわかるが…。少し落ち着いたらどう。」
幸音がそう言った。愛もまた。
「そうだよ。ぼーっとしていたら…危ないよ。」
上の空の早苗を二人の友達は注意した。そして三人はいつもどおり、帰路についた。
だが、早苗はやっぱり頭がいっぱいだった。
幻想入りについて―諏訪子も神奈子も何かを隠している―それが昨日、話してみての直感だった。それがなんなのか―そして伯父が残した本―これに答えが書いてあるのでは?早苗はそう思った。いや、確信していた。
さて、いつの間にか早苗は家についていた。そして、玄関を開けると…目に飛び込んできたのは。
「…お客さん?」
そこには見慣れない女性物の靴が一足あった。ハイヒールの高級そうな靴である。
早苗は、どこか気配を消しながら自分の部屋に向かった。
その時、今から声がした。神奈子の声だった。思わず歩を止めて聞き耳を立てる早苗。
「―いつも悪いね。」
「これがないと、生活できないでしょ。」
聞き覚えのない声だった。それに諏訪子の声が重なった。
「―しかし、今回は自ら来るとはね。やっぱり別れたことを―」
「―私とあの人のことをとやかく言われる筋合いはありません
それに―人間の感情が【神様】に理解できるとは思えませんけど。」
声の主が、少しだけむっとしたように答えた。
「では―私はこれで―」
思いの外早く話は終わったようだった。慌てた早苗だったが、直ぐにふすまが開けられた。
座ったまま、ふすまを開けたのは一人の女性だった。
スーツ姿にショートカットのメガネを掛けたきつい目付きの女性だった。
「―すみません―」
瞬時に頭を下げて誤った早苗。一方の女性は何事もなかったように立ち上がると、部屋を出ていった。一言も発しないで。その様子に、神奈子も諏訪子も特に気にした様子はなかった。神奈子は、机の上においてあった厚い封筒を手に取るとタンスの中に入れた。
「ただいま―」
早苗はバツが悪そうに言った。
「おかえり。」
神奈子と諏訪子がほぼ同時に返した。早苗は、自分の部屋にカバンと借りてきた本だけをおいた。
「―いまの女性は?」
早苗の質問に、神奈子が淡々と答えた。
「―伯父さんの別れた奥さんよ。」
ええ!と小さい声を上げる早苗。内心はそれ以上に驚いていた。
「今月分を届けに来てくれたの。これがないと…生活できないでしょ。」
諏訪子はそう言って、先ほど神奈子が閉まったタンスを指さした。
早苗の記憶によれば―あそこには通帳や現金があった―
「いつもは、秘書が来るんだけどね。今回はどうしたのかな?」
「いろいろあるのでしょう―よ。」
諏訪子と神奈子はそう言って、特に気に止めた様子はやはりなかった。
しかし、早苗は衝動的にその女性の後を追っていた。
途中部屋に入るとあの、本を持って―
「―あっ!早苗!」
諏訪子が止めるのも聞かずに、早苗は行ってしまった。
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2012-02-11(Sat)

東方海神殿 第二章 幻想入りへ 2

本日は、続きです。いや…なんだか申し訳ないです…。

翌日、早めに登校した早苗は、学校の図書館に来ていた。
ここにいるある人物に会うためである。
「おはようございます。」
挨拶と共に、図書館の扉を開けて入ると、貸出のカウンターから声がした。
「おはよう。」
その声の主こそ早苗が会いたい人物だった。
「おはようございます。小松さん。」
小松さん…つまり、生徒会長の小松姫は、ここによくいる。もともと図書委員だったらしく、今でもここがお気に入りだった。
さて、小松さんは声の主が、早苗であることに気がついた。
「愛の友達の早苗さんか。こんなに早く、図書館に何か用事でも?」
早苗と小松さんとは直接あって話すことは、ほぼ初めてである。とはいえ、愛と同じ剣道部である小松さんとは、顔を合わせる機会はあったので、お互いに知ってはいた。
「あの…。小松さんに聴きたいことがあるのですが…。」
「―私に??」
小松さんは、やはり驚いた。早苗は無理もないと思った。
それほど面識があるわけでもないから。とはいえ、小松さんの人柄は自分の聴きたいことがあるといって来たものを返すことはなかった。
「それで、一体どんな話…?」
「はい………小松さんは、「幻想入り」ということを聴いたことがあります?」
「…?幻想入り…??」
早苗は、小松さんに幻想入りという単語について訊いてみた。だが、やはり小松さんでも解らなかった。そこで、早苗は、幻想入りというものが、どんな感じのものであるか、自分の聴いた刀の話と、自分の想像を話した。それを小松さんは興味深げに聴いていた。
「う~ん…。幻想入りね…。」
小首を傾げる小松さんに、早苗が続けた。
「…それに近い話でも聴いたこと、ありませんでしょうか?…どうしても知りたいのです。
ここの本を読破したという、小松さんならと思って…。」
「買いかぶり過ぎだよ。全部の本なんてとても…。うん?本………」
どこか照れたように手を振った小松さんだったが、突然何かを思い出した。
「そういえば…幻想入りという様なタイトルの本があった気が………」
「えっ!?本ですか!」
「ちょっと待って。確か………」
小松さんは、そう言ってパソコンをいじり始めた。
本の貸出履歴や在庫のリストを検索してみると…。
「…あった!」
小松さんが声を上げた。
「本当ですか。」
早苗もそれに驚き、声を上げた。
「私の記憶も少しは当てになるものだな。タイトルは…。
「神々はどこに消えたのか?」~幻想入りの真実~」
「神々はどこに消えたのか?…ですね。」
早苗は興奮した様子で、カ行の本棚を目指した。そして…そこで少し大きめの厚手の本を見つけた。
「…あった!ありました!」
早苗は、それを手に取った。
「…えっ………」
しかし、その本のある一文に早苗の目が釘付けになり離せなくなった。著書の名前のところだった。
「著者…「東雲 重悟」…これってまさか…。」
「どうしたの?本はあったと…」
固まる早苗の後ろから、小松さんがやってきた。しかし、早苗はそれに気が付かないほどの鼓動を感じていた。
「…まさか…伯父さんが…」
その時になって、早苗は小松さんがいることに気がついた。そして小松さんに声をはってお願いした。
「この、著者の本…他にありますか!!」
早苗のいきなりの様子に、小松さんは少しだけ引いていた。
「落ち着いて。調べてみれば解るわ。」
「お願いします。」
早苗と小松さんの二人は、カウンターに戻った。もちろん、早苗はあの本を抱えていた。
「…しかし、そんなに興奮気味で…。一体どうしたの…?」
検索中に、小松さんが早苗に率直な疑問をぶつけた。
「…この本を書いたの…伯父なんです。」
それを聴いた小松さんが今度は驚く番だった。
「伯父?…それはまた…偶然と言うか、縁深いというか…でももっと言うと…。」
そこで一息ついて、小松さんは言った。
「―運命かもね。」
2012-02-07(Tue)

東方海神殿 第二章~幻想入りへ~

「それじゃ…本当にありがとう!楽しかったよ。」
と、早苗は幸音に言った。
「私もとても楽しかったよ。幸音。おかげで久しぶりに、充実した休みを過ごすことが出来たよ。幸音、ありがとう。」
愛も、幸音にそう言った。愛は二人に言われたため、どこか照れくさそうに言った。
「ふたりとも、それぞれ満喫できた用でよかった。」
日曜日の夕方、三人は上田から帰ってきた。最寄りの駅で降りると三人はそれぞれ帰路についた。
「…明日!学校で!」
愛はそう言って、去っていった。
「うむ。ではまた!」
幸音は、笑みと共にいった。
「それじゃ、明日!」
早苗は、二人を見送った後に帰路についた。

「ただいま~。神奈子様、諏訪子様ただいま帰りましたよ。」
家に帰った早苗を、まず神奈子が出迎えた。
「早苗、おかえりなさい。どうだった?楽しかった?」
「うん。とても。」
早苗は、居間へと向かった。
「お!おかえり!早苗~。」
居間には諏訪子がいて早苗を出迎えた。
「ただいま。諏訪子様。ほら、おみやげですよ。」
早苗はそう言って、諏訪子に袋を渡した。
「ありがとう~どれどれ…おお!」
諏訪子は早速袋の中を広げていた。
「へえぇ。ずいぶんとあるな。…お!六文銭クッキー…変哲だけど、美味しそうだね。」
神奈子が感心したように言った。実は、早苗は幸音からパフォーマンスの時にバイト代をもらっていたのだった。だから、おみやげも多かった。
「みやげ話は、夕食の時に聞くとして…早苗。先にお風呂に入っちゃいなさい。」
神奈子が、タオルを差し出した。
「早苗。今週の、ワカダンナー見た?一応録っておいたけど?」
諏訪子が、顔だけ廊下に向けて言った。
「幸音の家で見ました。…でも、もう一度見ますから…。」

風呂から出ると、言葉通り、直ぐに夕食になった。幸音の家のに比べれば遙かに少ない食卓だったが早苗は、これが大好きだった。その時、早苗は自分があった坂城での体験を話した。
「幻想入りね…。」
神奈子がどこか感慨深げに呟いた。
「神奈子様は、幻想入りをしっているのですか?」
「ま、まあ…ね。知っているっちゃ知っているが…。
とはいえ、幻想入りなんてことは珍しいことじゃない。
大体、三神器だって、幻想入りしているからね。大体、見つかっていないものは幻想入りしているもんだ。」
「そうそう。忘れ去られたものは幻想入りする。そんなところだね。」
諏訪子も頷いた。しかし、早苗だけが納得していない様子だった。
「しかし…幻想入りが、理想郷や、桃源郷に入ることならば…それはどこにあるのでしょうかね?」
「桃源郷ね…。まあ、間違っちゃいないかな…。」
神奈子が意味深にそう呟いた。早苗は、神奈子に視線を向けた。しかし、その視線を遮るかの様に、神奈子は言った。
「でも、重悟の…伯父さんの知り合いに会うとはね。世の中は狭いな。でも、これが…」
「これが、縁ってやつなんじゃない。」
諏訪子が横から言った。台詞を取られた神奈子は、諏訪子をちょっとだけ睨みつけた。
その時、ふと早苗は何気なく言った。
「そういえば、伯父さんのものはどこにあるのでしょう?」
それを聴いた神奈子は、一瞬何を…?という口をした後で、ああ…と言った。
「早苗は、小さいから知らなかったでしょうけど、伯父さんの遺品ならほとんどが別れた奥さんが持っていったよ。」
「えっ!?」
早苗はその言葉に、とても驚いた。自分の伯父さんに奥さんがいた事なぞ知る由もなかったからだった。
「あそこも変な夫婦だったな。別れた癖に…遺品は引きとるんだから。」
諏訪子がそう言った。
「そう…。伯父さんにね…。私、なんにも知らないのね…。」
早苗がどこか寂しそうに言った。実は、早苗は聴きたいことが山ほどあった。
自分の両親がどういった人だったのか?どうして亡くならなくてはいけなかったのか…。
今回のことを機会に聴くつもりでいたが…。いつもどおり、はぐらかされるのは目に見えていた。それでも、今回は聞こうと思った。意を決した早苗は言った。
「ねえ。私の両親って…どんな人達だったの?」
その言葉を、まるで待ったいてかのように神奈子と諏訪子はいつもどおりの答えを出した。
「立派な人たちだったよ。早苗やみんなを護ろうと必死だった…。」
「自分の形見だといって…髪飾りを残してね。不器用な人たちでもあった。
でも、早苗のことは本当に愛していたよ。それは、解ってね。」
神奈子と諏訪子のいつもどおりの曖昧な答えを聴いた早苗は、髪飾りを取ると、それを愛おしそうに撫でた。
「そう………」
その時、神奈子が何かに気がついた。
「あれ?その髪飾り…?なんだか…少しだけ変わった?」
神奈子に言われて、早苗は思い出した。
「ええ。変わったと言うよりも綺麗になったというべきですかね。
さっき話した、刀鍛冶の人がこのサビを落としてくれたのです。」
「サビ!?本当に!嘘でしょ?」
その言葉に、諏訪子が驚いた。神奈子も心底驚いたようだった。
「嘘は言っていませんよ。本当にさびていたのですよ。
…もっとも、私には解らなかったですけど…。」
「ちょっと、見せてくれる?…ほら諏訪子。」
神奈子がそう言って、半ば強引に早苗の手から髪飾りを取ると、諏訪子に渡した。
「あっ…!本当だ!…加工した後があるよ。…いや、疑って悪かった。」
諏訪子は、謝りながら早苗に髪飾りを返した。
「もう…。」
早苗は、髪飾りを付け直すと言った。
「私、少し幻想入りについて調べてみようと思います。伯父さんがというのもありますが…すこし興味がありますからね。」
早苗はそう言うと、お茶を飲み干した。そして新しく注いだ。
「なるほど。とはいえ、何かを調べるのはいいことだ。…私にも一杯。
ほら、諏訪子も。」
「うん?…ああ。お茶ね。…もらおうかな。」
神奈子が、そう言った。一方の諏訪子はどこかの空だった。
「おかしな二人?」
早苗はそう言った。

その夜。諏訪子と神奈子の二人は、早苗が寝た後、密かに二人で話し合った。
「…サビが出るなんて…力がかなり弱まっている証拠だよ…諏訪子。
あれは、洩矢の鉄でできているんだろ?…普通は…。」
深刻な面持ちで話す神奈子。
「うんなことはわかっている。………でもいざとなるとショックだね…。」
諏訪子が、気落ちしたように言った。
「…重悟がかつて言った…【幻想入り】を…本当に…。」
「まだだよ…。神奈子。」
諏訪子がそう言った。神奈子も、それに頷いた。
まだ大丈夫…神奈子もそう思いたかったのだった。

だが…ふたりとも解っていた。信仰の力がかつてないほどに衰えていることを…。
2012-02-03(Fri)

東方海神殿 第一章~早苗の小旅行 7~

本日は、続きです。本当に久しぶりだわ…。更新するの…やばいね…。

上田に戻ると、駅の前には人だかりがあった。
「なんだか盛り上がっているな~。」
愛がどこか感心しているように言った。
「?」
早苗が、その人だかりを見ると、赤い甲冑と、六文銭の描かれた手ぬぐいや、旗。甲の前立てにあしらわれているもの等、ほぼ全員が何かしらの六文銭をその身体につけていた。
「愛?あれは?」
「六文銭だ。…そうか、幸音はこれのために戻ってきたのか。」
愛が呟いた時だった。人だかりの中に、幸音の姿を二人は発見した。
「おおい~!幸音~!」
愛が駆け寄った。早苗もそれに続いた。
「うん?おお、早苗に、愛。坂城からは帰ってきたのか?用は済んだか?」
二人に気がついた幸音が、鉢金と甲冑姿のまま駆け寄ってきた。
「ええ。このとおり!」
愛がそう言って、剣を見せた。
「見ても構わないか?」
「どうぞ。」
「…見事だ。」
幸音が心からの感嘆の声を上げた。ふと隣の早苗を見ると。
「…?どうした早苗?何か考えごとか?難しい顔をしているが…。」
と、声を掛けた。
「ちょっと、いろんなことがあってね…。」
曖昧な返事で早苗は返した。幸音は、それを見ると頷きながら言った。
「まあ、良い。おいおい、その話は聴かせてもらうことにしよう。」
「―ところで、幸音は、何をしているの?」
早苗が、素朴な疑問を発した。
「うん?ああ、これから、団体客に真田の里を紹介するのだ。
その時に、ちょっとしたパフォーマンスをすることになってな。…本当はしたくないが…。」
最後の方は、ぼそぼそと聞き取りにくい声だったが、幸音はそう言った。
「このために、帰ってきたの?」
「うむ。本来なら、うちの父や兄弟が演じる予定だったが、あいにくと皆出払ってしまった。
そこで、他の有志にまざり今回は私が演じることになった。」
淡々と、他人ごとの様に幸音は答えた。
「パフォーマンスって?まさか殺陣でも披露するのか?」
愛が半笑いで言った。
「―無論そのつもりだ。」
大まじめに幸音が答えた。
「―ずいぶんと簡単に言うじゃないか。ちょっとしたパフォーマンスじゃないぞ。」
「そうよ、幸音。危ないわよ。」
早苗も愛も時代劇の殺陣を想像して言った。
「大丈夫だ。ふたりとも。そんなヘマをしない。」
幸音が強い声でそう言った。
「それに、折角真田の里に来てもらった方を楽しませないで、返すのは申し訳ない。
私たちは主に、観光で食べているからな。少しでもお客様を喜ばせんといかんだろ?」
幸音は真摯な眼差しを向けていた。
「でも、本当はやりたくないのでしょ?」
早苗がそう言った。
「ああ。できるなら近づきたくもなかった。大勢の人を前に自分の姿を晒すのは恥ずかしい。
まして、パフォーマンスなどと…。」
「それでもやる?」
早苗は更に言った。すると、幸音は今まで以上に真面目な声音で言った。
「―たとえ好まざることでも、自分が出来る環境にあるならばそれをすれば良いと思ったまでだ。
確かに恥ずかしい。穴があったら入りたい。でも、私しか出来なことがあるならば、私はそれを行うべきだと思った。それに…観光客が来なくなったら、我が家の生活は破綻してしまうしな。―だから、ここにいるのだ。」
しっかりとした口調だった。幸音は、自分が今何をすべきか考えた結果で動いていた。
たとえそれが、自分にとっては好まないことでもやらなければならない。
「…強いね…幸音は。」
早苗がそうつぶやこうとした時、愛が声を上げた。
「なるほど…。わかったよ…幸音。あんたの活躍…しっかりと目に焼きつかせておくよ!」
愛が幸音の手を取るとそう言った。
すると、今度は逆に幸音が愛の手を取った。
「…な、なにかな?幸音。」
「―ここに来る前に言ったよな。二人には働いてもらう…と。」
「えっ?まさか…アレに加わるの!」
早苗が、人だかりを指さした。
「早苗にパフォーマンスは無理だろう。よって裏方として、働いてもらう。」
「ええ!」
早苗の声に耳を貸さずに、幸音は続けた。
「愛は、剣道少女。それも学園一の使い手。…相手には申し分ない…。
ちょうど、大久保忠世のポジションが誰もいなくてな…。」
「ちょ、ちょっと!いくら殺陣ができても、学園の朝練にも来ない人に言われたくはないわ。
横暴よ!」
「そうよ。幸音。横暴よ!」
早苗と愛の二人はそう口々に言った。すると幸音は。
「…頼むよ…」
頭を下げ、そう素直にお願いして来た。
なんとなく、幸音が不安であることを感じ取った早苗と愛の二人は結局、幸音共に参加することを決めた。

…パフォーマンスは大成功に終わった。
2012-01-26(Thu)

東方海神殿 第一章~早苗の小旅行 6~

本日は、ひさしぶりの続きです。

小さい仕事場だった。だが、今にも真っ赤に燃えそうな炉。効率良く燃焼させるためのふいご。
鉄を叩くための槌。雑渡の用具もしっかりと整理整頓されてある机。…匠の空間があった。
六三斎は、部屋の隅に向かった。砥石と研磨機がそこにはあった。
「炉に火は入れてないから安心していろいろなものを好きに見て構わないよ。」
六三斎は、そう言うと小さなヤスリを取り出し、丁寧に錆びを落とし始めた。
「お邪魔します。…へぇいろんなモノがあるんですね~。
これは…鋼?錆びた鉄?…泥のなんかもありますね…?
こういうものを精製して、刀ができるのですね。」
不思議なものだ。早苗はそう思った。刀は馴染みが無いが、自分が使っている包丁が、こういう空間で生まれ、なおかつ、一件すると何の変哲もないものからあの様に切ったり割いたりできる道具が生まれ出されるかと思うと、ますます不思議だった。
「―あっ!…そうだ!」
突然、愛が何か思い出した様に言った。
「六さん!私、頼まれていたアレを取りに来たのよ。どこにある?」
「ああ、アレか。机のところの紙の中だ。鞘は、横に立ててある」
六三斎は、机の方を指さした。
「…これね。開けてみていい?」
「刃は潰してある。大丈夫だ。」
早苗も、気になって机に来た。新聞紙にくるまれた一振りの剣。
愛は、新聞紙を取ると光を当てた。剣は、あたかも七色に光るが如く眩しくもどこか吸い込まれるような輝きを放っていた。
「すごい…綺麗…。」
早苗はそう言わずにはいられなかった。
「…さすがに、綺麗になっている…」
愛は、その輝きを食い入る様に見つめていた。
「ありがとう、六さん。これで、心置きなく仁科の舞を舞うことができるよ。」
「良かったね。愛。」
早苗は、愛とは神職…巫女というつながりで、意気投合している。以前、神事のことについて話す機会があったときに、愛から仁科の舞について並々ならぬ思いを聞いた。
愛は、剣を手に取ると正眼に構えた。
瞬時に、今まで穏やかだった愛の顔が、とたんに険しいものになった。
文字通りの真剣…早苗には、そう思えた。
「…うちのご先祖様は、最後の最後まで戦い抜いた。多くの者を護るために…。
―私もこれで舞を舞うからには、最後まで諦めない、弱さは見せたくない。」
愛が、以前語った内容が、頭の中で再生されていた。
仁科の舞は、多くの舞があり、それをすべて愛は、この年で舞うことができる。それは彼女の努力によるものが多かった。愛は、早苗のような特殊な能力はない。
だけれど、愛の能力は、早苗には真似できそうになかった。常に全力で努力し続ける。
常日頃の飄々とした愛からは感じ取れないが、早苗は愛のそこがすごいと思っていた。
「…さすが、愛ね…。」
早苗が、愛には聞こえない声でつぶやいていた。
その時のことだった。早苗の六感に触れるものがあった。
「…この感覚は?」
早苗は、感覚がする方に目を向けた。部屋の端…そこには、小さな箱があった。早苗は箱に行くとそれを開けずにはいられなかった。どうしても確かめたかったのだ。
「…これは、槌?」
そこには、刀を打つときに使う、槌が収められていた。だが、どうもその槌からこの世のものとは思えない強い力を感じた。
「…なんなのこれは?」
早苗は槌をもつと、それを見つめた。
「…よし、出来た。思ったよりも浅かったな…。」
六三斎はもう、錆を落としたらしい。早苗に髪飾りを返そうと思い、六三斎が早苗に近づいた。
「終わったよ、もうこれで錆びることはないだろう。…うん?どうした?」
早苗は、背後で言われて初めて気がついた。
「―えっ!?」
振り返ると、六三斎の手に髪飾りがあることに気がついた。
「あ、ありがとうございます。」
早苗は、いそいそと槌を箱にしまうと、髪飾りを受け取った。
「…もしかして…貴女は、その槌からなにか感じ取ったのか?」
手渡した六三斎が少し驚いたようにそう早苗に尋ねた。
「はい。ちょっと…なんだかおかしい気がして…。」
早苗のその言葉に六三斎は、やっぱりな。という顔を浮かべた。そして、早苗が閉まった箱から槌を取り出すと、それを観察した。
「うん?なにその槌?」
いつの間にか、鞘に剣を収めた愛が、二人のところに来ていた。
「…この槌は、私の一族の呪いみたいなものだ…。」
「ええ?呪い!」
早苗が驚きの声を上げた。愛も、えっ!?という表情。
六三斎がぽつりぽつりと話しだした。
「この槌は、800年以上も前の品物らしい…。
私のご先祖がこの槌で…ある人物から受け取った「妖刀」と言われる二振りの刀を鍛えたらしい。」
「妖刀……」
「その証拠に…800年経った今も腐っていない。木でできているのにもかかわらず…だ。」
六三斎はそう言うと、それを箱に閉まった。
「私の六三斎という名前は、本名ではない。私で、六十三代目だからこの名なのだ。
妖刀を鍛えたのは、十代目の「坂城 刀十郎」だと言われている。
しかし…ご先祖の名前や、槌を使ったことはともかく、誰から?なぜ?
そして、その妖刀の所在は?調べたんだが―結局はわからずじまいだったな…。」
「もしかして…」
と、早苗。
「大学のサークルの時にそれを?」
「―まあね。でも本当に手がかりすらなかった…。
そういえば…このことを聞いた時、重悟が言っていたな…。」
一息置いて、六三斎は口を開いた。
「―幻想入りしたのだ―と―」

「それじゃ…お元気で!あっ!六さんもついでに!」
愛がそう言って玄関に立った。
「また、いつでも来ていいのよ?」
「俺はついでか?チーちゃんも口が悪くなったな…ノブのやつに似てきたのか?」
「父さんに?勘弁してよ。」
三人は、互いに顔を見合わせて笑った。
「…本当にありがとうございました。」
早苗も靴を履き、玄関に立つとそう言って六三斎とその妻に御礼を言った。
「髪飾りは、帰ったら袋からだして空気の良いところにおいておけば、明日には付けられる。
…しかし。不思議なものだな。まさか、東雲―東風谷の娘さんに会えるとは思っていなかった。
縁は異なもの味なもの…本当にそうかもしれないな。」
「体に気をつけてね。無理は禁物!」
六三歳と妻がそう言った。その言葉にはとても温かみがあった。
こうして、早苗と愛の二人は奇妙な体験と共に、坂城を後にした。

モアモア!!!帰ってきた乙女たち!!!

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