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2012-01-26(Thu)

東方海神殿 第一章~早苗の小旅行 6~

本日は、ひさしぶりの続きです。

小さい仕事場だった。だが、今にも真っ赤に燃えそうな炉。効率良く燃焼させるためのふいご。
鉄を叩くための槌。雑渡の用具もしっかりと整理整頓されてある机。…匠の空間があった。
六三斎は、部屋の隅に向かった。砥石と研磨機がそこにはあった。
「炉に火は入れてないから安心していろいろなものを好きに見て構わないよ。」
六三斎は、そう言うと小さなヤスリを取り出し、丁寧に錆びを落とし始めた。
「お邪魔します。…へぇいろんなモノがあるんですね~。
これは…鋼?錆びた鉄?…泥のなんかもありますね…?
こういうものを精製して、刀ができるのですね。」
不思議なものだ。早苗はそう思った。刀は馴染みが無いが、自分が使っている包丁が、こういう空間で生まれ、なおかつ、一件すると何の変哲もないものからあの様に切ったり割いたりできる道具が生まれ出されるかと思うと、ますます不思議だった。
「―あっ!…そうだ!」
突然、愛が何か思い出した様に言った。
「六さん!私、頼まれていたアレを取りに来たのよ。どこにある?」
「ああ、アレか。机のところの紙の中だ。鞘は、横に立ててある」
六三斎は、机の方を指さした。
「…これね。開けてみていい?」
「刃は潰してある。大丈夫だ。」
早苗も、気になって机に来た。新聞紙にくるまれた一振りの剣。
愛は、新聞紙を取ると光を当てた。剣は、あたかも七色に光るが如く眩しくもどこか吸い込まれるような輝きを放っていた。
「すごい…綺麗…。」
早苗はそう言わずにはいられなかった。
「…さすがに、綺麗になっている…」
愛は、その輝きを食い入る様に見つめていた。
「ありがとう、六さん。これで、心置きなく仁科の舞を舞うことができるよ。」
「良かったね。愛。」
早苗は、愛とは神職…巫女というつながりで、意気投合している。以前、神事のことについて話す機会があったときに、愛から仁科の舞について並々ならぬ思いを聞いた。
愛は、剣を手に取ると正眼に構えた。
瞬時に、今まで穏やかだった愛の顔が、とたんに険しいものになった。
文字通りの真剣…早苗には、そう思えた。
「…うちのご先祖様は、最後の最後まで戦い抜いた。多くの者を護るために…。
―私もこれで舞を舞うからには、最後まで諦めない、弱さは見せたくない。」
愛が、以前語った内容が、頭の中で再生されていた。
仁科の舞は、多くの舞があり、それをすべて愛は、この年で舞うことができる。それは彼女の努力によるものが多かった。愛は、早苗のような特殊な能力はない。
だけれど、愛の能力は、早苗には真似できそうになかった。常に全力で努力し続ける。
常日頃の飄々とした愛からは感じ取れないが、早苗は愛のそこがすごいと思っていた。
「…さすが、愛ね…。」
早苗が、愛には聞こえない声でつぶやいていた。
その時のことだった。早苗の六感に触れるものがあった。
「…この感覚は?」
早苗は、感覚がする方に目を向けた。部屋の端…そこには、小さな箱があった。早苗は箱に行くとそれを開けずにはいられなかった。どうしても確かめたかったのだ。
「…これは、槌?」
そこには、刀を打つときに使う、槌が収められていた。だが、どうもその槌からこの世のものとは思えない強い力を感じた。
「…なんなのこれは?」
早苗は槌をもつと、それを見つめた。
「…よし、出来た。思ったよりも浅かったな…。」
六三斎はもう、錆を落としたらしい。早苗に髪飾りを返そうと思い、六三斎が早苗に近づいた。
「終わったよ、もうこれで錆びることはないだろう。…うん?どうした?」
早苗は、背後で言われて初めて気がついた。
「―えっ!?」
振り返ると、六三斎の手に髪飾りがあることに気がついた。
「あ、ありがとうございます。」
早苗は、いそいそと槌を箱にしまうと、髪飾りを受け取った。
「…もしかして…貴女は、その槌からなにか感じ取ったのか?」
手渡した六三斎が少し驚いたようにそう早苗に尋ねた。
「はい。ちょっと…なんだかおかしい気がして…。」
早苗のその言葉に六三斎は、やっぱりな。という顔を浮かべた。そして、早苗が閉まった箱から槌を取り出すと、それを観察した。
「うん?なにその槌?」
いつの間にか、鞘に剣を収めた愛が、二人のところに来ていた。
「…この槌は、私の一族の呪いみたいなものだ…。」
「ええ?呪い!」
早苗が驚きの声を上げた。愛も、えっ!?という表情。
六三斎がぽつりぽつりと話しだした。
「この槌は、800年以上も前の品物らしい…。
私のご先祖がこの槌で…ある人物から受け取った「妖刀」と言われる二振りの刀を鍛えたらしい。」
「妖刀……」
「その証拠に…800年経った今も腐っていない。木でできているのにもかかわらず…だ。」
六三斎はそう言うと、それを箱に閉まった。
「私の六三斎という名前は、本名ではない。私で、六十三代目だからこの名なのだ。
妖刀を鍛えたのは、十代目の「坂城 刀十郎」だと言われている。
しかし…ご先祖の名前や、槌を使ったことはともかく、誰から?なぜ?
そして、その妖刀の所在は?調べたんだが―結局はわからずじまいだったな…。」
「もしかして…」
と、早苗。
「大学のサークルの時にそれを?」
「―まあね。でも本当に手がかりすらなかった…。
そういえば…このことを聞いた時、重悟が言っていたな…。」
一息置いて、六三斎は口を開いた。
「―幻想入りしたのだ―と―」

「それじゃ…お元気で!あっ!六さんもついでに!」
愛がそう言って玄関に立った。
「また、いつでも来ていいのよ?」
「俺はついでか?チーちゃんも口が悪くなったな…ノブのやつに似てきたのか?」
「父さんに?勘弁してよ。」
三人は、互いに顔を見合わせて笑った。
「…本当にありがとうございました。」
早苗も靴を履き、玄関に立つとそう言って六三斎とその妻に御礼を言った。
「髪飾りは、帰ったら袋からだして空気の良いところにおいておけば、明日には付けられる。
…しかし。不思議なものだな。まさか、東雲―東風谷の娘さんに会えるとは思っていなかった。
縁は異なもの味なもの…本当にそうかもしれないな。」
「体に気をつけてね。無理は禁物!」
六三歳と妻がそう言った。その言葉にはとても温かみがあった。
こうして、早苗と愛の二人は奇妙な体験と共に、坂城を後にした。
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